口径85mm 高33mm
椿は、浜野まゆみがもっとも多く描いている花木の一つです。作陶を始めた18年前から、豆皿の絵柄の中に椿がありました(椿の豆皿は、極端な変形が多かったのを憶えています)。椿の花を赤絵で描いたそば猪口もありました。
見込みに出ている鉄粉や降りものが、うるさくならない程度にいい景色を作っています。こういう焼き上がりにするためには、手間もコストもかかるけど、やはり薪窯でないと無理なようです。釉薬もじゅうぶん溶けていますが、ピカピカにならず、しっとりと落ち着いた肌合いです。電気窯で焼成しているときは、浜野さんはぐい吞みを作らなかったのですが、現在の作品を見ると、その頃はなぜ作らなかったのかという理由が分かる気がします。
素地のろくろ成形は、浜野さんによるものではありません、別の陶芸家に依頼しました。
平盃は、口まで運ぶ動作が殊更うれしそうに、傍からも見えます。口からお迎えに行く、というのか。
鉄絵具で『口紅』が施してあります。