直径212mm 高32mm
針状の尖ったもので素地を線彫りする加飾を陰刻といいます。彫って窪んだ溝に釉薬が溜まって、紋様を引き立てます。彫った線の太さと深さ、素地と釉薬の色のコントラストなどで印象が変わってきます。
陰刻の逆の陽刻は、盛り上がった紋様がぽってりしておおらかな感じがします。対して陰刻は、キリっとした線がシャープで繊細な印象です。人それぞれの好みでしょうが、陰刻の線は細くて浅いほど、陽刻はその輪郭があいまいなほど、雅味があって味わい深いと、僕には思われます。逆説的ですが、大量生産のやきものだったら失敗と思えるものでも(ものほど)作家の作ったものは美味しい。少なくとも量産品にない味が、そこにある。陽刻も陰刻も紋様が明確でなく、見ようと努力して初めて見えるくらいだけど、しかしよく見ると細かく描き込んであったり複雑な模様だったり、そういうものが面白いんじゃないですかっ!?ということです(個人の感想です)。
しかし、そういうものほど写真撮影が厄介です。撮影画像と実物の乖離にいつも悩みます。ほんとうに柄が見えにくくて申し訳ありません。実物はもっと見えてます。って言い訳にもなってないか。浜野まゆみ作、というのが何より説明の補強になると思いますが。画面を少し暗くすると、幾分見えやすくなるようです……。写真はあくまでイメージ、とおぼし召しください。
絵柄はザクロです。左上から反時計回りに、花が咲いて受粉して結実するおめでたい(?)絵柄です。ザクロは実の粒が多いので、多産や豊穣のシンボルとして描かれています。