口径・長辺58mm(底の径52mm) 高72mm
新品未使用の白磁ですが、『雨漏り』のような景色が出ています。雨漏りは、粉引きや刷毛目など化粧掛けした陶器に現れる景色です。使い込むうちに素地と化粧土、または化粧土と釉薬の層の間に水や油分が染み込んで斑点となり、天井板の雨漏り染みのように見える……、それで雨漏りと名付けられたようです。
磁器は陶器より硬く焼結するので、焼きが甘くないと雨漏りの景色は出ません。それに、そもそも『雨漏り』は使った果てに現れる変化で、新品未使用の磁器に見られる景色でない筈です。
浜野さんが言うには、硬く焼結したうつわでも『雨漏り』のような色合いに出ることがあって、それは焼成の後半に酸化と還元が幾度も入れ替わると、そんな感じの上りになるのでは……、とのことでした。窯の中のムラ、というか偶然で生まれる景色のようです。だからAに比べるとBは全体が灰味がかっており、色も不均一です。ほぼ同じ場所に窯詰めしてこの違い。浜野さんが薪窯に魅力を感じ、こだわるのも分かる気がします。