口径85mm 高55mm
木地が厚めですが、それでも陶器に比べて手取りがはるかに軽いというメリットがあります。熱燗を注いでも、杯が熱くて持てない、とならないのも漆器のいいところでしょう。長く使うほど愛着の湧く美しさ堅牢さは、上質な漆器の持つ魅力です。
『馬上杯』は西域から伝来したうつわで、もともとは角杯(リュトン)がオリジナルのようです。中近東からシルクロードを経由する過程で騎馬民族に愛好され、この名前がついたのでしょうか?正倉院宝物の中に、青いガラスの馬上杯があります。色絵磁器、ガラス、銀器などさまざまな素材で出来た馬上杯を蒐集するのも愉しそうです。ぐい呑みは集め出すと収拾がつかなくなるので、なにか一貫したテーマを決め、それに従ってコレクションを作ったほうが賢明でしょう。
馬上杯の高く広い高台は、異国情緒を醸し出します、ボロディン作曲の歌劇『イーゴリ公 Prince Igor』の『韃靼人の踊り』女声合唱が、アタマの中をぐるぐる回ります……。
高台の内側に下地の黒漆が見えて、締まった印象を与えます。