長辺110mm 短辺105mm 高27mm
うつわの輪郭を鉄釉で縁取ることを『口紅』といいます。陶磁器の焼成中、釉薬は熱で溶けて流れます。口縁の付近ほど釉薬の乗りが薄くなるのはそのせいです。そのため鉄釉で口紅を施して厚みを付け、強度を保つという実用的な側面があります。
鉄は地球上に最も多く存在する金属でポピュラーな陶磁器の原料です。青磁も黄瀬戸も釉薬の主原料は鉄です。鬼板とかベンガラとか呼ばれている唐津や志野の鉄絵具は、酸化鉄の塊を砕いて水で溶かしたものです。ひじょうに身近な素材ではありますがその一方けっこうデリケートで、低温だと綺麗に発色しないし高温だと揮発して消えてしまいます。思い通りの色を出そうとすると中々やっかいで、扱いが難しい面があります。
浜野さんは有田町の泉山採石場で拾った石を潰して鉄釉を自作しています。『画竜点睛』とはこういうことを言うのではないでしょうか。