口径48mm(底の径37mm) 高63mm
彫りの線が素晴らしい!それが、このうつわの一番の魅力、見どころです。一瞬に描かれたクロッキーのような、伸び伸びとした勢いのある線です。浜野まゆみの絵付けは定評のあるところですが、それとはまた違った即興の魅力があります。たぶん、浜野さんの素描のタッチにかなり似ているんじゃないでしょうか?ふつう、絵付けは仲立ち紙(カーボン紙)を当てて下絵の輪郭をトレースしますが、この線刻は下絵なしで彫ったそうです。花は木槿(むくげ)でしょうか?李朝の民画でよく見る花木に似ています。
素地のろくろ成形は、作者自身によるものではありません、別の陶芸家に依頼しました。
成形にしろ絵付けにしろ、浜野まゆみの作陶は常に緻密な作業の連続です。神経をかなり使って、ストレスも溜まることでしょう。で、細かい仕事が続きグ〜っと煮詰まったときに、気分転換で彫りをやると、ポーンと弾けて思い切りのいいスピーディな線が現れるんじゃないか……。とは部外者の勝手な想像ですが。でも出来がよけりゃ文句ないでしょう(?)。
うつわの裏に、ロクロ挽きして切り離した糸の跡が渦巻き状に残っています。瑠璃釉は、ふだん浜野さんが染付に使っている呉須絵具を薄めて作ったものです。