口径82mm 高68mm
『街灯』で僕が思い出すのは、20数年前に一時暮らした長崎県波佐見町の街灯です。鉄柱にオレンジ色の硝子ボールが2基ぶら下がっているレトロデザインの照明でした。波佐見町は山に囲まれているので(窯業地は山合いの土地が多い)、朝夕に霧がよく発生します。霧の中にボワンとにじむピンクオレンジの玉、それが県道沿いに長く連なって浮かぶ様子は幻想的な光景でした。
『街灯』が印象的な歌謡曲といったら『赤坂の夜は更けゆく』(西田佐知子)を推薦(?)します。冷たく並んだ街の灯よ……、今の時代もこういう大人の歌謡曲がもっと流行ってもいいのにと思います。
映画では、その名のとおり『街の灯(まちのひ)』チャップリンの代表作に数えらる無声映画があります。我が国では小津安二郎も『生れてはみたけれど』『東京の合唱(コーラス)』などのサイレントの名作を残しています。いずれも名子役の菅原秀雄が出演、東京の合唱は岡田時彦が主演で高峰秀子も子役で出ています。大好きな一本です。戦前の小津作品は若いということもあるけれど、洒落ていて軽快でやや哀しい味があって、名作大ヒットを義務付けられた後年の作品群と趣きが異なります。未見の方ご覧になるのをお薦めします。今は比較的安価にDVDが買えるので便利ですね。