口径82mm 高68mm
ハラダマホの練り上げで、この数年で特に現れた傾向を挙げるなら『明るい色彩を多用する』ということが言えると思います。全体に淡い色調で明度差が少ない、いわゆるハイキーです。そういうものが以前に全くなかったわけでなく、16年くらい前に作った四角皿の『風車』はハイキーの極みでしたが、記憶にあるのはそのくらいです。最近は木葉皿やぐい呑みの『トルファン』、カップの『点描湖』などけっこう目につくようになりました。この『縫目』も全体にハイキーですが、黒い線や三角がアクセントに入っています。それらが以前のハイキーものと違う点ではないでしょうか。作者にそれを尋ねると「淡い色調の雰囲気に頼って色合わせをした結果、全体の印象が弱くなった」という反省があって、濃い色を差したそうです。そういえば、これも以前の作品ですが『葦(よし)』という大きめなカップは全体が白と黄色で淡い色合いでしたが、焦げ茶色の線がすーっと入って画面を引き締めていた。あの頃からハイキーの雰囲気をなんとか締めたい、という試みが始まっていたのかもしれません。今回は濃い色が積極的に導入されています。色合わせに今まで以上の手応え、自信が出てきたのでしょう。