口径60mm 高57mm
黒の地に白い破線、と色彩や構成はシンプルですが、線の流れが太くなったり細くなったり、長さにも変化があり複雑で目で追っていくといつまでも飽きません。
白樺のところでも書きましたが、陶土の水分量、密度などで現れる模様がそのたびに変わります。ハラダさんは20年近い制作活動から得た経験則で「こういう場合はだいたいこうなる……」と予測できますが、それも『だいたい』の範囲です。幾何学模様が整列した『ダイヤ』や『サザナミ』などだったら、線や模様が均一に並ぶよう工夫しますが、この『サイクロン』や『白樺』『ターメリック』は模様の揺らぎや乱れが見どころ、というかアイポイントになります。そこで積み重ねた陶土を適当な力加減で叩きます。奥の方まで密度を等しくする効果もあるそうです。この作業をハラダさんは「潰す」と言っています。模様が思ったとおりに出たときは「今回はツブしがよく効いた」とご満悦、しかし事情を知らないと何やら物騒な会話に聞こえます。
思い出したので書いておきますが、「だいたいこうなる」の予想は悪いときにも当たります。「これは本焼きで割れそう……」と窯詰めのときに思うと、果たして割れている、とか。あいかわらず歩留まりは低いそうです。