口径63mm 高57mm
ハラダさんは新作を作るとき、うつわの形と練り上げ模様の両方から割り出した図面を、方眼紙に色鉛筆で描くことから始めます。ぐい呑みのように筒状のうつわは一周回って継ぎ目に来たとき、違和感なく繋がるように考えて設計します。マグカップだとハンドルをこの場所に付けるなど、通常は継ぎ目の位置を目立たなくする処理を施しますが、このぐい呑みはむしろ継ぎ目がポイントになっています。商品写真の正面に写っているのが継ぎ目です。ユニットになっている菱形の、左右で色が分かれています。反射したダイヤモンドのイメージでしょうか?この変化した面があるのでダイヤに見える、とも言えます。
もの作りの工程で生じる、本来なら要らないもの消し去る可きものを逆手に取って、それを魅力に変えるのも作家の感性が発露する場面です。石膏型の鋳込み成形でカップソーサーを作った石黒宗麿が、石膏型の継ぎ目に現れる線を、通常は素地の段階で水拭きで消しますが、それをあえて残してモダンに見せていました。制作に係る全ての事象が表現に繋がりうる、という好例です。