長辺163mm 短辺108mm 高24mm
長年作り続けているものでも、いいものには見飽きるということはないと思います。もしわれわれが見飽きる、いわゆるマンネリズムを作品から感じるとしたら、作る側の心に『飽き』が生じているからで、長年作っていることが原因ではない。ハラダさんの『白樺』にマンネリを感じたことはないし、浜野さんの桃皿も同様です。
よく「シンプルなものは飽きない。複雑なもの凝ったものは飽きやすい」と言われます。うつわを指してそういう話になることも多く、白磁や粉引きで単純な形態の食器が人気なのも「シンプルなものは飽きない」との理由からでしょう。浜野さんの兎紋分銅皿は、シンプル・単純と真逆です(浜野さんのうつわは一見シンプルな長角皿でも、実は手の掛かった凝った作りをしていて単純と程遠いのですが)。しかし何枚も何年も見ても飽きない。以前、縁に瑕のある分銅皿を分けてもらって折々に取り出して見ていますが、そのたびにいい!と心が動きます。浜野さんが、この分銅皿を作る困難さ奥深さ面白さを常に感じているから、いいものが作り続けられるのだと思います。