口径125mm 高23mm
梅雨時に咲く花、というと紫陽花の名がまず挙がりますが、くちなしも雨の季節に咲く名花です。つやつやの照葉にクリームホワイトの大輪八重咲きは、色彩的にも見事なコントラストで印象的です。くちなしの特徴はなんといってもあの甘い芳香でしょう。沈丁花、キンモクセイなどと共に、香る庭木の代表格ですね。ただし前二者は花が小さいのですが、くちなしの花はこの上なくゴージャス。「おまえのような花」と歌った流行歌がありましたが、うーんあの歌詞もねえ、『おまえ』が派手な性格なのか控えめなのかよく分からない。女性を花に喩えるのは歌謡曲の常道ですが、花に対するイメージも人それぞれで、褒めたつもりが「あら?わたし、そんなにケバく見えるのっ⁉」と誤解されることもあるでしょう、難しいと思います。さらに難しく(?)しているのは花言葉で、バラは色だけでなく花の本数でも花言葉が変わるらしい。たしかにバラはメッセージ性が強い、こうなるとほとんど手紙と同じです。
と、くちなしで散々ボヤいて文字数稼ぎをさせて頂きました。浜野さんの『くちなし皿』はシンプルに抽象化されていながら、みっちりした花のボリュームを彷彿とさせる、見ているとイメージがふくらむうつわです。白磁の色はやわらかい白、縁取った鉄釉の『口紅』が上品です。