口径63mm 高57mm
ぐい呑みに『隠し砦』と名付けるくらい、ハラダさんは日本映画が好きです。それも昭和10年から30年代あたりまでが守備範囲で、特に森繁久彌の社長シリーズがお好みです。女優では、田中絹代。絹代が主演の映画は、作品を見るというより絹代そのものを鑑賞する、といったほうが正しいくらいです。映画の感想を聞くと「絹代が、絹代が」と、絹代指数がものすごく高い、といった有り様。そういえば、ずいぶん前に『節子』(原節子にちなむ?)と名付けた練り上げのカップはあったけど、まだ『絹代』は現れていません。あのくらい好きだと、かえって名付けにくくなるのではないでしょうか。
『隠し砦』や『街灯』など色土が規則的に並ぶ作風は、セーターの編み込みやキリムなどの織物のパターンを連想させます。裏に糸が渡っていることも、模様が裏まで通過している練り上げと似ています。