直径252mm 高35mm
この八寸皿を最初に見たとき、藍九谷と相通ずる美点がつよく印象に残りました。藍九谷は17世紀半ばに肥前国の有田で作られた染付け磁器で、日本画のような大胆な空間処理と力強い絵付けが魅力です。色絵の古九谷と同じく、以前は加賀国の大聖寺村で製作されていたと言われていましたが、今では有田説が有力で、古伊万里の優品と考えられています。ですから、美大で日本画を専攻し、古伊万里を範として作陶している浜野さんのうつわが藍九谷に似てくるのは当然の条理といえます。
薪窯で焼成していることも大きな効果となって現れています。磁器ながら柔らかみを感じさせる器肌に上がっています。また、商品画像では鮮明でありませんが、釉薬の流れた跡や溜まった箇所が景色となっています。浜野さん曰く、釉薬の掛け方に凝り出すと止められなくなるし、そうしているうちに迷い出すそうです。