直径275mm 高36mm
ハラダマホの練り上げ作品の中でもっとも大きな丸皿です。このサイズは16年間に2〜3種類しか作ってないと思います。今回の大皿は一部に色が入っているものの、画面のほぼ全面積がモノクロームという意欲作(あるいは問題作)です。『首飾り』は、この大皿に半年ほど先行して四角皿が作られましたが、それは普通(?)にカラーでした。大きさも形状もほとんど別物ですが、両者のイメージが繋がるようにパターンは踏襲されています。
通常、小さな作品のほうが形や図柄が破綻なく纏まり易いものです。小さなものをそのまま拡大すると、大きくしたが故の間延びした感じやバランスの悪さが生じるので、何らかの修正が必要になります。この皿では首飾りの層を五段から八段に増やし、文様を細かくするなどデザインを変更しています。しかしそのため分割面が格段に増えて、これに様々な色が入るとバラバラ且つ煩雑な印象に成りかねません。それで敢えて色味を外して、モノクロームで勝負に出たのでは?と思いました。
下から二番目の、黒枠に囲まれた白い四角形の中に、さまざまな色の細い線が縦に入っています。ほろほろした感じのとても細い線ですが、練り上げなので決して消えません。
カラーをモノクロに変えても、練り上げの制作工程は何も変わりません。それを考えると、けっこうなゼイタクですね!個々の図形の面白さ、パターンの成り立ちがさらに鮮明になって、カラーとは違った効果が現れています。白黒テレビ時代の、早朝(放送前)に映るテストパターンに似ていて、じっと見ていると目の奥がくらくらしてきます。「ふしぎなマシーンの配電盤みたい!」というのが僕の第一印象でした……。