口径62mm 高68mm
やきもの好きの方なら『色絵の虎』と聞いて、ああそれはオリジナルが柿右衛門だな……と想像することだろうと思います。そのくらい(?)柿右衛門の虎は有名で、17世紀後半に輸出された有田焼の色絵皿はヨーロッパで好事家の心を掴み、ドイツの名窯マイセンで同意匠の皿が焼かれました。もっとも、虎も花木も欧風にアレンジされましたが。
そこで改めて浜野まゆみが描く虎を見ると、おや?柿右衛門?と見まがうばかりの正統な虎ですが、よく見るとぜんぜん違いますね。別物になってます。ネコ科特有の柔らかな筋肉の質感表現がみごとです。柿右衛門の虎もマイセンの虎もスキニーですが、浜野さんの虎はたっぷりしてます。目に愛嬌と凄味があって、李朝の民画を思い起こさせます。
三点の湯呑みのどれにも、四点目にアップの画像を載せました。手描きなのでみんな微妙に違いますが、顔つきで好みが分かれると思います。この(A)は細おもてで鼻筋が通っていて、俳優でいうと上原謙タイプです。さて、BとCをだれに喩えようか、と思案中であります……。