口径48mm 高64mm ※共箱付(共布はありません)
小振りで、やわらかな造形の筒ぐい呑みです。器肌が暗くて見えにくいと思いますが、網模様の絵付けが施してあります。以前に骨董屋から聞いた話ですが「小振りのぐい呑みは、元々は飼い鳥の水入れだったものが多い」とのことでした。愛育している盆栽に似合った植木鉢を誂えるような心持ちです。伊万里の赤絵の水入れはキビタキとかコマドリとか、姿が綺麗で鳴き声の美しい小鳥にピッタリでしょう。唐津の渋いぐい呑み(水入れ)には、メジロなどいかがでしょう(?)。メジロも鳴き声が魅力で、むかしはよく飼われた小鳥です(現在は、原則的に飼育禁止です。為念)。
お茶のほうで筒型の茶碗は、厳寒の季節専用です。お点前もかなり違います。お客さんに出来るだけ温かいお茶を飲んで頂くよう、熱の逃げない筒型が考案されました。たしかに、真冬に筒茶碗でお点前をいただくと、顔にふわっと湯気が当たります。亭主の心遣いを有難く思う瞬間です。
筒ぐい呑みを手で包み込んでお酒を飲むのは、やはり冬に合っている風景です。そのときはぜひ、熱燗で。「熱くしてね!」と一声お願いして。ちなみに、小津安二郎が好んだ熱燗は56℃だったそうです。