口径93mm(底45mm) 高77mm
この形状は、もともと『ラッパカップ』といって、ハンドルのないカップとして作られていました。しかし口径が広いため片手で持ちにくいのと、見た目にもハンドルが付いた方がバランスが良くなるので、現在はマグカップで作られることが多くなりました。
白・黒・グレーと、紫のグラデーションが交差する様子が『魔女』っぽい(?)雰囲気です。紫は高貴な色といわれる反面、神秘や妖しさを持ち併せます。江戸時代のお殿様が病気になった時、紫色の鉢巻きをしているのは、染色の原料である紫根(ムラサキという植物の根)の薬効に由来するものです。歌舞伎の『助六』も紫の鉢巻きをしていますが、あれは助六の癇癖な性格を表しているのかも。ケンカを売りまくってるし。
このマグが珍しいのは、つや消しのマット釉が掛けてあることです。透明釉のものと質感が違って、さわった感触が石のようにサラサラしています。ハラダさんが使っている電気窯は容量が小さいので、マット釉がムラなく溶けるのが難しいそうです。だからマット釉の作品は全体の数パーセントに留まります。透明釉と比べて汚れやすいということもありません。ハラダさん自身が毎日使って大丈夫、と分かってから作品に使用しています。