直径 85mm 高10mm(平らではありません。くぼみがある小皿です)
象嵌は、陶土を彫って文様を作るので、そこに生まれる線はキリッとシャープです。シカの脚の関節のように、細くて硬い質感の表現に適しています。裏の柄は『鱗(うろこ)文』です。釉薬を掛けない『焼き締め』で、サラサラした石の手触りがします。無釉ですが、水分や油脂が染みることはありません。
春日大社の神獣としてシカが有名ですが、シカは古くから日本の各地にいました。石器時代、縄文時代からもっとも食べられた動物はシカだそうです。ある意味とてもありがたい動物ですが、身近すぎて縄文人はシカの土偶を作っていません。北海道の先住民、アイヌ民族は多くの動物や魚、山や川などを神(カムイ)と称えましたが、シカは食料と見られたため、除外されたそうです。ものの見方、区分は時として大きな偏見を生みます。