口径82mm 高68mm
『白樺』はハラダさんの作歴の中でも長いあいだ変わらず作り続けている、特別な意味のある練り上げ模様といえます。「長いあいだ変わらず」と言いましたが、その時々によって白い破線の表情が違います(白樺は色もパターンもシンプルなので、違うといえば白い破線しかないのですが……)。白と黒の色土を組合せて数ヶ月寝かせ、互いの土を馴染ませるために押して叩くのですが、ハラダさんはそれを「潰す」と言います。潰しの工程で白い破線の表情がいろいろ変わります、陶土が含む水分量だったりハラダさんの力の入れ具合だったり。理想の『白樺像』が作者にあるのか?聞いたことはありませんが、初期に比べて最近のほうが面白くて表情豊かな破線の発生率が上がっています(個人の感想です)。
精密機器の組み立てに最適な環境の長野県塩尻、その地に有名な時計メーカーの工房があります。工房の近くには美しい白樺林があるそうです。そこで生まれるモデルで、白樺をデザイン化した文字盤が特長の、とても素敵な高級時計があります(お値段もかなり素敵です)。ハラダさんも、独立前に勤めた研究所の近くに白樺林があり、通勤の行き帰りにその白樺林を眺めていたそうです。二つの『白樺』は似たような生い立ちだったのです。