113×115mm 高15mm
カップの『清の菊』と同じデザインの四角皿です。こちらのほうが練り上げ模様の意図が分かりやすいですが、この柄をカップに纏める技術はたいしたものだと思いました。
角皿とカップでは黒い部分の比率が違います。ところどころに見える白の細かい点々は、色紙をちぎった時に現れる紙の裏白で、そんなところまで清の貼り絵を再現しています。
山下清は芦屋雁之助主演のテレビドラマ『裸の大将』シリーズでお茶の間にいっそう知られるようになりましたが、ランニングシャツに半ズボンはドラマ用に創案された衣裳で、実際は浴衣姿が多かったそうです。いつも養護施設からフラッと姿を消すので、その寸前まで着ていた寝間着の浴衣で放浪していたのではないでしょうか。
伊藤若冲の『群鶏頭』を下敷きにした山下清貼り絵があります。首の羽毛を逆立てた雄鶏が正面を向いており、その首の羽毛が花火のような菊の花のようなで興味深く、細い色紙を放射状に貼り込む作業が清は好きだったんだろうな……と想像してしまいます。
描画と貼り絵が違うように、練り上げと絵付けもその作業工程が違うだけでなく、それぞれの作品から受ける印象が違ってきます。練り上げは色土のブロックが組み合わさっているせいか、画面全体の密集感が増します。花弁が多いキク科植物と相性がいいのはそのためか?と思います。