口径100mm 高37mm
小鉢は『タイル』『ナスとカボチャ』『格子』『野原』のような大人しい(?)というか、あまり突飛でない柄のものが多かったのですが、今回の小鉢は色も柄の分割も中々アクティブです。ハラダさんはこの形状の小鉢を長いあいだ作っていますが、絶えず工夫し創意を働かせてよいものにしていく熱意は大したものだと思います。
ちなみに『ます』は魚のマスで、ヘミングウェイの小説にあるマス釣りのイメージだそうです。小説のマス、と聞いてリチャード・ブローディガンの『アメリカの鱒釣り』のほうを僕は思い出しました。レイモンド・カーヴァーとかあの頃読んだ小説はどれも面白かった。人生でいちばん読書した時期でした。芸術作品でいちばん有名な『ます』はシューベルトのピアノ五重奏、そのうちでも第三楽章でしょう。渓流を勢いよく泳ぐますの姿が目に浮かんできます。
鉢の練り上げ模様も、ヒレやウロコを思わせる柄が仕込まれています。網目みたいのはなんだろう?いろいろ想像して観察すると楽しいと思います。