口径90mm 高77mm
宮沢賢治の著した短編『よだかの星』に因んでマグの名前を決めたそうです。主人公のよだかは本家筋のタカに改名を迫られ(お前がタカを名乗るのはタカ一族の名折れ、という言いがかりをつけられて)、生きるのに絶望して天に昇って星になり今も燃え続けている……というのが、粗過ぎるあらすじです。復讐でも挫折でもない結着、賢治ならではの話の括り方です。
よだか(正式名称はヨタカ)は小説中の描写にもありますが、くすんだ茶色の地味な容姿をしています。おまけに口の周りには味噌を付けたような無様な斑点があり、美しいカワセミやハチドリの兄弟とはとても思えない。との記述もあります。
このマグカップは、うつわ全体を走る幾多のストライプが印象的です。ぐんぐん天に昇り身を燃やして光芒を放つよだかの姿に、僕には思えるのですが。カップの内側に見えるストライプと外周をめぐるストライプが繋がって、内外をぐるぐる回る躍動感が味わえるのも練り上げならではの見どころでしょう。上からマグの中を覗いた時に見える景色もなかなかインパクトがあります。