口径82mm 高68mm
練り上げ大鉢『ピース』の項でも書きましたが、素地の真っ白な磁器土を使うことで微妙な色彩表現が出来る、そのメリットはハイキーな作品で最大に生かされています。また、グラデーションやコントラストを効果的に演出するためにも、素地の段階では接着しにくい割れやすいなど制作上のデメリットが多くあるものの、ハラダさんの練り上げに磁器土が必須であることは言うまでもありません。
表現と素材が密接な関係にあることはやきものに限ったことではなく、工芸全般に言えることです。選んだ素材で表現の幅が狭められるとしたら、不幸なことです。ハラダさんの練り上げが年々確実に向上し、なによりも楽しいものになっているのは、歩留まりが悪いというデメリットがありながら素地の白さが何物にも替えがたい磁器土を素材にしていることが大きいと思います。