カップ:口径88mm 高68mm ソーサー:直径138mm 高21mm
このカップ&ソーサーは、草堂が目黒区駒場で実店舗の営業をしている頃に『ハラダマホ 練り上げのうつわ展』でDMのデザインに採用されたもので、10年近く前の話になりますが、思い出深い一品です。作者が長いあいだ参考作品として所蔵していましたが、このたびウェブショップに出すために送ってもらいました。
『ピエロ』に先行して『影(かげ)』というカップ&ソーサーがありました。白から黒へのグラデーションは首回りや袖にフリルがついたピエロのコスチュームを連想させますが、これは『影』からの引用です。ソーサーやカップの縁の四角模様は『枡』や『バイキング』など数多くのパターンの中に見られます。赤や青はピエロの顔に塗られたペイントのようです。サーカスの持つ華やかさと儚さ、光と影を思わせる色模様です。フェデリコ・フェリーニの一連の映画、別役実の戯曲や童話が思い出されます。寺山修司の映画や芝居もサーカスや見世物小屋の、それも舞台裏の雰囲気を漂わせていました。この頃はそういった気配を持つものが少なくなったようです。
このコーヒーカップソーサーはずいぶん前に作られているので、商品として流通するのはこれが最後の一点だと思います。