カップ:直径78mm 高57mm ソーサー:直径137mm 高22mm
黄色がメインになった練り上げの作品は『茅』『熱帯雨林』『フラッグ』など名作揃いです。というより、個人的に黄色が好きなだけかもしれませんが。ふだんの自分の持ち物や衣類で黄色を選ぶことはあまりないけれど、ハラダさんの作品を見て「これいいなあ……」と思うと黄色が主役だった、という例は意外に多い。なので、最近の作例では『ウィーン発』のカップ&ソーサーを見て「いいなあ……」と思いました。
今回、二客組で掲載しましたが、一方は模様の向きが逆(裏返し)になっています。素地の裏表をひっくり返して成形すればこうなります。技法というほど凝ったものではありませんが、こうした面白い見せ方が出来るのも練り上げならでは、と言えます。
二つのカップ&ソーサーを見比べると一方はパターンが右下がり、もう一方は右上がりです。両方ともデザインがまとまっているので、どちらがどうという違和感がありません。カップに現れる『継ぎ目』が見えないのも、ウィーン発の特長です。ソーサーは近い時期に製作されたパスタ皿の『ワニの庭』に似ています。デザインの変遷がわかります。
最初の画像ではハンドルが右に揃っているので、裏側の模様が見えています。ハンドルを逆の位置にすると(三枚目)鏡に映したような対称関係になります。右利きと左利きとの二人でコーヒーを飲んだら、トリックの世界に迷い込んだ気分が味わえるかも。深夜12時に合わせ鏡の奥をじっと見ていると魔物が現れる、という怖い話を、なぜか思い出しました。呪術に使えそうなアイテムです(?)。