口径67mm 高77mm
画像でも分かると思いますが枝や幹の表皮が念の入った描き込みで、枝打ち跡のぐりぐりまで描いています。見るたびにこれが堪らない魅力(?)に思えてきます。この絵柄は梅の枝ぶりや幹の味わいが主題なのでは?と最近思い始めました。咲いている花が少ないのは、幹や枝がよりよく見えるための工夫ではないかな?
浜野さんは江戸初期の古伊万里を手本とする制作をしています。ですが、視点が独特なのか、ほかの人が採らない技法やモチーフを選びます。それが『糸切り成形』であったりツボミが角のように生えた山桜だったり咲いている花の少ない紅梅だったりするのですが、それらの作品は正統の古伊万里を彷彿とさせる気風に満ちています。一方で白磁長皿のようなヨーロッパ風にも古伊万里風にも見える造形を生み出したり(長皿は浜野さんのオリジナルで、古伊万里にこのようなかたちの作例がない)、それが違和感なく一連の作品群に収まる。ここにも浜野まゆみの魅力を解くカギがありそうな気がします。