カップ:直径78mm 高57mm ソーサー:直径137mm 高22mm
ウィーン分離派の工芸部門を受け持った『ウィーン工房』について、もう少し。分離派に参加した二人の工芸美術学校教授が工房を立ち上げますが、うち一人モーザーが四年後に脱退、その後若いデザイナーが参加しますが、ダゴベルト・ペッヒェ(彼の優美なデザインはウィーン工房の代名詞になるほど人気を博した。とか)が夭折したり、パトロンの実業家が相次いで破産したりと、重なる不運で経営は大変だったようです。そのうえ工房の作品が「趣味性が強すぎる」「手工芸の技術に頼り過ぎ」と手厳しい批判を受け、徐々に『時代に合わないもの』と見做されて、次世代のアールデコやバウハウスに影響を与えながら消えていきます。
ということをウィキペディアやコトバンクの記事を拾いながらまとめてみました。しかし誰が言ったのか『趣味性の強さ』『手工芸の技術』とはハラダマホの練り上げを指しているようで、このカップソーサーが『ウィーン発』を名乗るのもあながち的外れでないのでは?と思いました。『幾何学的な装飾』という特徴も両者に共通しています。ハラダさんのデザインはウィーン工房製作の陶磁器よりも、直線的な加飾を継承しつつ移行した次世代のアールデコにより近いのではないでしょうか。だから『発』が付いたのかな?
ハラダマホのカップは底の模様が秀逸です。多くの作家が筒の胴体に丸い板土を貼り付けるので、色紙を巻いたような仕上がりですが、ハラダさんの場合、胴と底が一体の成形で手間がかかる分、現れる模様の面白さが格別です。『ウィーン発』は巴紋のような柄が出ています。土の可塑性を生かした処理方法です。