直径92mm 高60mm
浜野まゆみの蕎麦猪口、ウェブショップでは初お目見えです。浜野ファンは個展やギャラリーでお見知りおきのことと思います。やや薄手の素地で口径の広い、たっぷり容量のある器形で蕎麦猪口としてはかなり大振りな、手取りの感触は汲出しに近いものがあります。
『やや薄手』『広い口径』『容量たっぷり』『大振り』と書きましたが、その比較になっているのは『草堂』(目黒区駒場、1999〜2016)で扱っていた浜野さんの染付蕎麦猪口です。磁器の作家にとって蕎麦猪口はもっともポピュラーな品目ですが、浜野さんの場合は一人のお客さんに頼まれて作り始めた、といういきさつがありました。「料理屋を始めるので、オリジナルを作ってほしい」という注文でした。面倒(?)だったのは、絵柄になる動植物をいくつか(6,7,8だったと思う)指定してそれを各々3個。という極めて少ロットなことでした。面倒なのは僕じゃありませんね、浜野さんでした。3個のために原画を描いて、蕎麦猪口用に図案を作る、という大変な手間!後にレギュラー化したタコのような絵柄もあったし、努力や苦労にムダはありませんが、客と作者の間にいる者としてもっと調整できたのでは……、と今さらながら思います。