口径125mm 高23mm
うつわの表面にホクロのように現れる鉄粉や、窯焚きで燃やした薪の灰の『降りもの』は浜野まゆみの作品の魅力になっていますが、浜梨皿は特に鉄粉や降りものが似合うと思います。今でこそ見慣れて何の違和感もありませんが、十年近く前に渋谷区松濤の戸栗美術館1階展示室で開催された浜野さんの作品展で浜梨皿を初めて見たとき、なかなかの衝撃を受けました。展示の中心は糸切り成形+染付でしたが、白磁の素地に白化粧土を型紙摺りした蕎麦猪口や青白磁の浜梨皿など、得意の絵付けを敢えて施さない、一見無地の作品が僕には魅力的でした。「これからは絵付けだけでなく、こういう路線もやります」との浜野さんの宣言だったと思います。
熟練した職人ほど陥りやすい、或る種の画一性(マンネリともいう)を浜野さんがうまく避けているのは、多くの場合迷惑がられる(しかもランダムに現れる)降りものや鉄粉を積極的に取り入れて制作いるからだと、僕は思っています。それが全部でないにせよ、ファクターとして確実に作用していると思います。とはいうものの、過度に灰が付着したり鉄粉が吹いたものが発生して、泣く泣く廃棄するうつわが少なからずある筈です。そのようなわけで、作品の数が少なくなります。浜野さんの作品は毎回、WebShopに掲載した途端に売り切れで、お待ちしているお客さまに申しわけないとその度に思っておりますが、以上の諸事情をお汲み頂けるようお願い申し上げます。