口径93mm 高645mm
百合の花の小向付、以前は五客揃いでしたが今回は一客の販売です。あらためて見ると、うつわの清々しい姿がひときわ印象的です。咲いた花をかたどった小鉢は珍しくありませんが、この小向のうつくしさは格別です。小品ですが、食卓にひとつだけ置いても十分見栄えのするうつわです。
浜野さんは厚さ3mmのたたら(板状の粘土)で成形して、仕上げの段階で1mmまで削るそうです。ここまで薄いと生素地を水拭きするときに細心の注意で作業しないと、水を吸い込んであっという間に壊れてしまいます。一般的に、たたら成形するときの素地の厚さは3〜5mmで、それより薄くても成形は可能ですが破損分が増え、生産効率が落ちます。なぜここまで薄くするか?というと本歌の古伊万里(百間窯)が真にそういう造りをしているからです(「私のよりもっと薄くてピリッとした感じ」作者談)。古伊万里の陶片は実際の百合にもっと似ているそうです。浜野さんが目指しているのは、古伊万里を超えて本物の百合の花びらではないでしょうか?