口径98mm 高144mm ※共箱共布付
重厚で渋い印象の備前焼ですが、緋襷(ひだすき)は明るい色感で、ひと味ちがいます。モダンな造形でクラフトっぽいうつわを緋襷で焼く作家も、近年は増えています。緋襷の赤い模様は、窯詰めするときに巻いた藁の燃えた跡です。藁灰は珪素が多いので燃えても窯の中で熔けないので、隣り合ったうつわとくっつくのを防ぎます。緋色が現れるのは、いわばオマケだったのですが、そこに面白さを見出した職人が藁を叩いたり巻き方を工夫して、様々な名品を生み出しました。
緋襷は、その緋色と素地の生成り色のコントラストが魅力です。この生成りをきれいに発色させるため、小山末廣は電気窯を用います。電気窯だからといって焼成が容易になるわけではありません。冴えた緋色を求めるためにはぎりぎりまで温度を上げるそうです。そうすると備前焼特有の『火ぶくれ』が発生します。30個焼いて取れたのが2個、のこともあった。と以前に小山さんから聞きました。
徳利の周りを緋襷が巡っている様子は、炎が走っているように見えます。注ぎ口が赤く発色しているのも『口紅』のようで、愛敬があります。
この徳利とも長年の付き合い(?)ですが、写真撮影していて「綺麗だな」と、あらためて思いました。