口径118mm 高72mm ※共箱付
箱書きは『黒唐津』となっていますが、一般的には『蛇蝎(だかつ)唐津』と呼ばれている、黒釉の上に白濁釉を二重掛けした加飾法です。ふつう『黒唐津』といっているものは、天目釉に似た鉄分を多く含む釉薬を掛けて焼いたものを指し、しかし発色が本当に真っ黒いものから黄色味の強いもの、緑っぽく見えるものまで色々あって、こちらはこちらで一言でいいがたい、というものでもあります。
『蛇蝎』は、上掛けした白濁釉が窯の中で冷却する際、強く縮んでうつわの表面にウロコ状の景色を生みます。表面の凸凹がサソリの皮膚のようなので『蛇蝎』と名付けた、と言われています。
見込みの絵柄は、鉄筆のような先端の尖った道具で、黒釉を掛けた後に線描きする『掻き落とし』です。線描きで黒釉の剝落した箇所に白濁釉が溜まって絵柄が見えるわけです。『掻き落とし』は鼠志野でよく知られた技法ですが、唐津ではほかにあまり見かけません。鉄絵具で描かれた『絵唐津』とまた違う味わいで、川辺でそよぐ葦の風情が感じられます。
六客、というのも和食器では珍しいのですが、西岡さんはこの頃(18〜20年前)、組の食器を六客で出していました。たぶん洋食に対応したのではないかと思います。