口径90mm 高75mm
黄色とグレーの縦縞模様ですが、波形に区切られた上と下で色の濃さが違っています。釉薬が掛かっているところとそうでないところ、のように見えますが、もちろんそうでなく、別々に積んだ陶土が組み合わさっているのでした。しかもよく見ると、上の縞模様は黄色とグレーの二色ですが、下部分は黄色(薄い)+グレー(薄い)+グレー(もっと薄い)の三色で構成されています。そのうえ、薄いグレーともっと薄いグレーは交互に一本、二本、一本、一本という順で配列されていて、けっこう凝った柄になっています。言葉で説明すると何か煩雑なイメージになってしまいましたが、商品画像をご覧ください、すっきりとした印象の練り上げカップです。
湯呑みや蕎麦猪口に描かれた、細い縦縞模様を『トクサ』といいます。水辺に生える木賊(とくさ)にちなんだ名称です。小津の映画を見ていると、家族の集まった卓袱台でお父さん(笠智衆とか佐分利信とか)がトクサの筒湯呑みでお茶を飲んでいる場面がよく出てきます。縦縞は洒落ているので、個人仕様というかプライベート感が強い文様です。ちなみに、縞(シマ)という言葉は『島』に起因するそうです。東南アジアの島々からわが国へ、縞模様の織物が伝来したのがその由来とか。