口径82mm 高66mm ※共箱共布付
うつわに藁を巻き焼成すると、藁に接した部分が赤く発色するのが『緋襷』です。藁は比較的低温で燃えてしまうのですが、それが一週間以上も焚き続ける備前焼の景色になって残るのがおもしろいと思います。
緋襷は、何と言っても赤い景色の鮮やかさ、そして緋色をきれいに見せる素地の色が出来の良し悪しを分けます。個人的な好みもあるでしょうが、コンクリートのような灰色よりも生成りに近いクリーム色の素地のほうが、緋襷がより映えて鮮やかに見えます(桃山時代の茶入れの名品も、柔らかに見える素地と澄んだ緋色のコントラストが印象的です)。
作者の二代目小山一草は、ロクロで茶道具、酒器、食器などを作る一方、置物や香炉などの手びねりを得意としていました。この宝瓶も革袋のようなふわっとした柔らかさを出すあたりに、細工名人としての巧みさが現れています。もちろん蓋の合わせ、注口の水の切れなど細部の造りは良好で、道具としても完成度の高い宝瓶です。高台の削りを見ると(茶碗ではないのですが)、低くて薄いこの幅で、まあ味のある仕事をするもんだ……と感心してしまいます。