口径145mm 高48mm ※共箱付
唐津焼の作家が多くおこなっている『焼き締め』は、焼き締めの本場、備前や信楽などの『焼き締め』と少々違います。唐津の場合、白土を化粧掛けして無釉で焼成するのを『焼き締め』と呼んでいます。備前でも『伊部手』と呼ばれる上手物は、キメの細かい土を素地に化粧掛けするので、まったく違うというのではないが、カオリン成分の多い、ほとんど白い化粧土を用いるのが唐津の『焼き締め』の特徴です。釉掛けしない粉引き、ともいえそうです。化粧土の効果で、緋色が鮮やかに現れました。厚みがあり重量感のある造りです。
擂鉢(すりばち)は、それこそ無釉焼き締め窯業地のマストアイテムで、平安時代からの古陶が数多く残っています。最近は、櫛目をいっさい入れない、よく擂れてお手入れ簡単のモダンな擂鉢も作られています。ですが、料理を盛るうつわとしての擂鉢が、櫛目まで省いたら味気なくなります。これはこれでよろしい。
擂鉢のうつわに料理を盛り付けて出すと、いかにも新鮮作りたて「はい、ただいま!」の感じがして、風味も増すのではないでしょうか。美味しく感じる、ということは美味しい、ということです。