口径77mm 高40mm
薄瑠璃筒猪口の彫り模様と同じ柄が、二面に絵付けしてあります。そして彫りと同様、下絵なしのフリーハンドで描いたので、花のかたちや枝ぶりが表と裏でかなり違います。いつもの浜野さんのタッチとやや違って、いくぶんワイルドでスピーディーな筆遣いが新鮮です。古伊万里のさらに前の時代、初期伊万里の雰囲気に似ています。見込みに一羽、蝶が描かれていますが、その触角の線がとても細く、繊細な感覚も併せ持っています。
素地のろくろ成形は、作者自身によるものではありません、別の陶芸家に依頼しました。
先日、浜野さんと久しぶりに会った折、釉薬作りの話をする熱心な姿にあらためて感服しました。「江戸時代の資料を調べていたら、聞いたことのない柑橘類の名前が出てきて、だいたいアレなんじゃなかな?と見当がついたのですが、その木が二月に枝打ちをするという話を聞いたので、切り落とし枝を貰ってくるのが今から楽しみです(聞いた話をかなり省略……)」と、目をキラッキラさせて話してくれました。作陶のため四年前に唐津に引っ越した浜野さんですが、ほんとうに九州に移った甲斐があるというものです。がんばってください。良い話を聞かせていただきました。
今後、浜野まゆみのやきものがどう深化していくか、楽しみです。